こんにちは。げんからんです。
今週は小説の記事です。2022年に本屋大賞第2位。「木曜日にはココアを」「お探し物は図書室まで」など、数々のヒット作を生み出してきた青山美智子さんの作品、「赤と青とエスキース」の魅力と今作を読むべき3つの理由を元書店員の私が解説していきたいと思います。
記事全体を3分程度で読める文量でまとめておりますので、是非最後までご覧ください。
この記事の流れ
・簡単なあらすじ(ネタバレなし)
・おすすめ理由①
・おすすめ理由②
・おすすめ理由③
それではさっそくいってみましょう。
あらすじ(ネタバレなし)
交換留学生としてオーストラリアのメルボルンに訪れた主人公は「ブー」と名乗る人物に知り合いの画家見習いの絵のモデルになって欲しいと頼まれる。
留学生の為、現地に滞在できる時間に限りがある主人公は「エスキース」と呼ばれる下絵なら、、とモデルの依頼を受けることになる。
そしてこの一枚の絵を起点に物語は様々な視点から描かれていく───
今回コチラの出版社は「PHP文芸文庫」です。
青山美智子さんの文庫は宝島社文庫やポプラ社など、作品によって異なりますので、本屋さんでお探しの際はご注意ください。
おすすめ理由その1「散りばめられた伏線。連作短編の良さ」
青山美智子さんの作品は各章で1話完結型の短編ですが、全ての章が一つのテーマに沿って物語が進行している連作短編という点に特徴があります。
つまり、「連作短編の良さを最大限に生かしている作品である」という所がこの作品の面白い点であり、おすすめの理由です。
今回の物語のカギは物語冒頭で描かれる「1枚の絵、エスキース」です。
この1枚の絵画が各章でそれぞれ異なる時間軸、登場人物の視点で登場します。
「あ!ここで登場するんだ!」「この登場人物にとってはこういう思い入れがあるんだ!」
といった各登場人物の異なる視点からのエスキース観を感じることが出来るのが良い点ですね。
おすすめ理由その2「1冊完結だから読みやすい」
2つめのおすすめ理由は「1冊完結だから読みやすい」ということです。
もちろん、他の作品も1冊完結ではあるのですが、他作、「月曜日の抹茶カフェ」は「木曜日にはココアを」の続編であり、2作読んだ方がより味わいを感じることが出来るお話です。
一方で今作、「赤と青とエスキース」は、それまでの作品の続編というわけではないので、導入部からスムーズに物語に入り込むことが出来ます。
『青山美智子さんの作品を初めて読む』という方、「長い作品は読むのがしんどい」という『読書初心者の方』にすごくおすすめ出来る本だと思います。
実際に青山美智子さんの作品は国語の入試問題として採用されていることもあるくらいなので、学生の方にも是非手に取ってもらいたい作品の一つです。
おすすめ理由その3「人の縁、優しさに触れることが出来る」
青山美智子さんの作品の特徴といえばズバリこれ。人の縁、人の優しさ、互いを思いやる気持ち。これらを物語、言葉の節々から感じることが出来ます。
社会を生きる上では避けて通ることが出来ない「人間関係の悩み」。
これは誰もが感じていることだと思います。
この作品を読めばその悩みがすべて解決するとは言いません。しかし、何かしらのエッセンスをあなたの心に届けてくれることは間違いないと断言できます。
これは、物語内で登場人物の感情表現を、日常を生きる私たちの何気ない考えとして言語化してくれているから、だと思います。
心の中でモヤモヤしているけど、これがどいうことか分からない、あるいは分からなかった事がこの物語を通して「あ、私のあの時の気持ちってそういうことだったのか」と、気づかせてくれるそんなきっかけになるかもしれない1冊だと考えます。
まとめ(電車通勤など、少しずつ読み進めいたい人におすすめ)
いかがだったでしょうか。
今回は青山美智子さんの小説「赤と青とエスキース」を紹介しました。
青山美智子さんの作品は優しさと人間味に溢れていて、内容も勿論オススメできるのですが、連作短編という物語としての読みやすさという所もとてもオススメできるポイントです。
通勤通学中に少しずつ読み進めたいという方、読書のリハビリをしていきたいという方、読書を習慣にしていきたいと思っている方など、幅広い方に読んでいただきたい一冊ですので、是非書店や電子書籍でお手に取ってみてください。
今回は以上です。
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